作品名: The Essential Space
作品形態: 映像インスタレーション
素材: 映像、ブラウン管テレビ、
パネル、プロジェクター
作品サイズ: 約7分
制作年: 2021
この作品の映像のモデルとなった「中心新村」は、台湾の原住民の聖地であり、日本統治時代には温泉街として発展し、戦後は中国軍とその家族が二世、三世と暮らし、現在は封鎖されている廃村(眷村)である。横長のスクリーンには架空の村の風景が映し出され、その中を縦横無尽にカメラが巡る。手前に設置されたテレビに映る「身体の無い猿」は、その土地の物語を絶滅危惧言語で語っている。これらの映像は、菅野が2018年から2019年にかけて台湾に滞在しながら集めた資料や聞き取りによって得た「首の無い猿」の幽霊話、さらには土地の歴史に、現地の仲間と行なった連想ゲームを付け加え、もう一つの村を想像することで生まれたものだ。遠く離れた、自分にとって特別な思い入れがあるわけではない土地の話が、想像することで、不意に自分にとって繋がりのあるものに感じられる瞬間が訪れる。作品内の架空の村は、現実の村を見つめることで生まれたものであり、架空の村を通り抜けた先で再発見されるのは、私たちが暮らすそれぞれの、”今ここ”である。
▼インスタレーションビュー
▼ドローイングと資料 Drawings and materials.
▼制作プロセス Process of the work.
作中に使われる中心新村の地図や写真をもとに、3DCG空間に書き起こされた架空の村
作中のモンキーヘッドが語る言葉は、日本語から中国語、そして文字を持たない台湾語の音声へと翻訳され、そこから日本人で台湾語に対してアウトサイダーである作者によって、独自のカタカナ表記に置き換えられ、作者によって発音されている。物語は何度も翻訳されることで様々な意味を含むようになる。