撮影:川崎順平
作品名:未踏のツアー / The Untrodden Tour
映像インスタレーション (映像尺24分30秒)
制作年: 2022
たとえ訪れたことが無い土地であったとしても、人は愛着を持てるのだろうか。東京に住む作者は、友人がそこに移り住んだことをきっかけに、自身は訪れたことのない福島県西会津町に関係する物語を、小説やweb上の広報誌、住民とのビデオ通話を通して集めた。そして土地のCG模型を作り出し、集めた資料に基づいて様々な物語をそこに埋め込んだ。現実とは少しズレのある西会津町を、ツアー形式で踏破する映像インスタレーションである。
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Exhibition view
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もう一つの西会津を歩くための地図
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未踏ながらに作られた町のCG模型には、様々なレイヤーが重ね合わされている。例えば牛海と呼ばれる地すべりによって生まれ、かつては存在していた湖が重ねられている。それゆえ、ツアー中に少し地下に潜るとそこは湖になっている、というようなことが起きる。
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映像は全部で24分ありますが、中身は5分から7分の短いツアーに分かれています。ナレーションは音声なしの字幕のみの構成です。
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リモートによる民間伝承の聞き取りで取ったメモ/その土地に行ったことのない者が紡ぐ土地の物語の可能性。
実際の西会津町に訪れたことのない作者によって設計された西会津町のCG模型は、ズレがあり、不完全なものです。けれども、この不完全な模型の中を、物語と巡ることで、土地に馴染みの深い鑑賞者にとっては、よく知った懐かしい場所でありながら、時に「奇妙な場所」として映るでしょう。他方で、モデルとなった土地に馴染みのない鑑賞者には、その「奇妙な場所」が、なぜか懐かしく感じられる時が訪れます。そこから私が考えてみたいのは、故郷に住んでいる人間さえも探し求める”故郷”という存在。そしてその故郷に帰れない時にも、どうにか楽しく生き延びる方法です。
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